心臓の役割
心臓の“発電所”洞結節
興奮を伝える“電線ケーブル”
刺激伝導系
なぜ心臓の細胞で自然に
電気が発生するのか?

沖重 薫

横浜市立みなと赤十字病院
心臓病センター長
<専門>
臨床不整脈、心臓性突然死、
特発性心筋症、
カテーテル・アブレーション手術

横浜市立みなと赤十字病院

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神奈川県横浜市中区新山下3丁目12番1号
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 心臓は酸素を含んだ血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしています。心臓は右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋で構成されます。酸素を消費して全身から戻ってくる血液は右心房に入り、右心室を通って肺に送られます。肺から酸素を受け取った血液は、再び心臓に向かい左心房に入り、左心室を通って全身へと送り出されます。心臓は心筋という筋肉でできており、心筋の収縮によりポンプ作用を実現します。心房と心室がタイミング良く、規則正しく拡張・収縮する事によって、全身に血液を循環させています

 通常、心臓は頭で意識して命令しなくても、自然に収縮と拡張運動を繰り返し、規則正しく動いてくれます。安静時ならば1分間に60〜70回、運動したり感情的に興奮したりすると脈拍は更に速くなります。これは、心房(右心房)内部の上方にある「洞結節」という組織が、きちんと規則正しく動くように命令を出すことによりよります。洞結節より電気的興奮が発せられ、その電気が心房→心室と順序よく伝播する事により、各部屋の筋肉が収縮・拡張を繰り返し、ポンプ運動を実現させます。洞結節は生命維持に非常に大切な組織です。

 洞結節で生じた電気命令(興奮)が、心臓の中に張り巡らされた命令伝達経路を通り、心臓全体を協調させつつ、効率的に動かすように伝わっていきます。この経路は「心臓刺激伝導系」と呼ばれ、部位によっては興奮の伝導速度が異なります。

<興奮の伝わり方>

  1. 洞結節から房室結節まで、右心房内を3つの経路を通って速いスピードで伝わります。
  2. 房室結節に伝わった興奮は、ヒス束を通り、非常にゆっくりと心室へ降りていきます。
  3. 心室内では、心房内よりさらに高速度で興奮が伝播します。房室結節から、右の心室へは1本の経路(右脚)、左の心室へは2本の経路(左脚)に枝分かれし伝わっていきます。右脚左脚とも、その後さらに細かく枝分かれし、“プルキンエ繊維”と呼ばれる網目状の組織に移行します。

細胞膜には、イオンチャネルという“電解質”を移動させる通路があります。ナトリウムなど各種イオンが細胞膜を内外に移動することで電気が生じます。イオンは必ずプラスかマイナスに帯電しているため、プラスに帯電しているナトリウムイオンが細胞内から外へ移動すると、細胞内のプラスイオンが減るので、細胞内電位はマイナスに帯電します。逆に、同じナトリウムイオンが細胞外から細胞内へ移動すると、細胞内はプラスに帯電します。電位勾配が生じると、電位の高いところ(プラス)から低いところ(マイナス)へ電気が流れるのです。


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突然死の話
あなたの心臓に潜む危機
(中公新書)
沖重 薫著


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